オンライン塾・オンラインフリースクール運営の浜直也さんに聴く「これからの子供たちとの関わり方」とは?【ビィーゴ会員様インタビュー】

コワーキングスペースビィーゴの利用者のみなさまに焦点を当て、その人の人生や仕事観についてお伺いするビィーゴオリジナルインタビュー企画「あの人に聴いた!働くってなんですか?」

第17回目のゲストはオンラインフリースクールフォレスト、そしてオンライン塾「おはこや」を運営している浜直也さんです。

浜さんは10年間 中学校教員として働かれていました。
その後オンライン塾、そしてオンラインフリースクールの運営を始められます。

なぜ安定した教職員を離れ、いまの仕事をすることにしたのでしょうか。
浜さんを駆り立てたものとは一体。

そんな浜さんについてのこれまでの経緯や、これからの子供たちに向けた思いなどを、ビィーゴコミュニティマネージャーのアサカワミトがインタビューしましたので、ぜひ最後までお読みください!

【プロフィール】

浜 直也

10年間、公立中学校理科教員として勤務したのち独立。目先の点数を上げるだけの塾の在り方に疑問を持ち、受験以降の人生にも活きる自分で学ぶ力が身につくオンライン塾おはこやを開校。2021年11月より、不登校によって地域のフリースクールや公的機関に通えていない全国の子どもたちのためにオンラインフリースクールフォレストを立ち上げ、運営している。

GCS認定コーチ、Google認定教育者

<インタビュアー>:アサカワ ミト(ビィーゴ コミュニティマネージャー)

ビィーゴ交流会で知りあったのがきっかけ。

ミト

浜さんとはじめてお会いしたのはビィーゴ3周年交流会の時でしたね。

浜さん

結構最近ですよね。

ミト

そこで浜さんがオンラインによるフリースクールを運営されているとお聞きしたんですが、その時は恥ずかしながらボクがフリースクールというもの自体を知らなかったので、お話を聞いて初めてフリースクールというものを知り、そこから強く興味を持ちました。あらためてよろしくお願いします。

浜さん

よろしくお願いします。

学校で学べないことを教えたい。

ミト

早速なんですが、どういった経緯で今のお仕事を始められましたか? そして、フリースクールというものがどういうものなのか? わからない読者もいると思いますのであらためて教えてください。

浜さん

はい。僕は2021の4月にオンライン塾おはこやを立ち上げたんですが、その直前の3月まで、10年間枚方で公立中学の教員として働いていました。
中学生の時に担任に憧れ、そこで「中学校の先生になるんだ」と決めて突っ走り、そのまま夢が叶って先生になりました。

ミト

順風満帆だったんですね。

浜さん

ですね。そしてこのまま先生を続けていくものだと思っていたんですけれど、ちょっとした人生の転機があって退職を決意しました。その後に創ったのが「おはこや」というオンライン塾です。塾といっても勉強関係は一切ノータッチなんですけど。

ミト

勉強関係一切ノータッチですか?

浜さん

はい。いわゆる塾というよりも、どっちかというと「寺子屋」や「私塾」のようなイメージですね。「学校じゃなかなか教えてくれない大事なことを教える場所」というイメージです。

ミト

例えば、どんなことを?

浜さん

やっぱりお金のことですね。お金って一生涯必要な知識なのに、大人でもちゃんと知らない人がたくさんいますよね。「で、それってどこで教えてるの? 」ってなった時に、そういう場所がまだあんまりなかったんです。なので、まずはお金のことを正しく教える。お金の歴史やいまの現状とかも含めて伝える場が必要だと思いました。

ミト

なるほど。電子化によってお金のカタチが変わりつつある今、私たちも改めてお金について学ぶタイミングですよね。この時期に大人も、子どもたちと一緒に学ぶというのは良い機会かもしれませんね。

浜さん

そうですよね。で、もうひとつ思ったのがキャリアや働き方です。働き方っていうものをよく考えてみると、みんな学生時代はサラリーマンしか選択肢を知らない状態で過ごしていて、それでなんとなく就活して社会に入っていくんですよね。僕もそういう認識のまま先生になった口なんですが。

ミト

「多様な働き方」って言いますけれど、「何がどう多様になってるのか」を教わる機会ってまだまだ無いんですね。

浜さん

先生もサラリーマンですから。その経験と知識しか教えられないんですよね。けど僕はたまたま先生になってからも色々な本を読み続けたことで会社員以外の働き方を知ることが出来たんです。「そうか、サラリーマンって働き方の”ひとつ”でしかないのか!」って。例えば、社長さんって具体的には何してる人なのかなとか。もし、自分が起業家や投資家だったら??とか。実際に起業などをされてる方は子供にその知識を伝えられるんでしょうけど、そうじゃない方だと多様な働き方を知らないから、なかなか伝えられないですよね。

ミト

たしかに。知らないと伝えられないですもんね。会社員以外の仕事って、実際は親から伝わっていく世襲制みたいなところって、確かにありますよね。

浜さん

ですよね。 それに気づいてしまったんです(笑)
だから気づいちゃったのなら僕が伝えるしかないやろ!と、そう思ったんです。

ミト

なるほど(笑)

たくさんの大人に出会える場をつくる。

浜さん

あと、振り返ると今まで僕は大人との出会いが少なかったなと思いました。担任に憧れてからは教師への道一直線でしたから。もっと学生のうちに、いろんな生き方をしている大人たちと出会っていたら、人生また違っていたかもしれないなと思うことがあります。そういう思いから、リモートでいろんな大人を呼んで話をしてもらう機会というものを作りました。

ミト

確かにそういう機会は少ないですよね。 それは、どんな場を作られたんですか?

浜さん

「哲学対話」というものをしています。

ミト

哲学対話ですか??

浜さん

「哲学対話」は、ひとつのテーマを決めて、オンライン上で中学生から大人まで一緒になって考える場です。例えば、テーマとして「幸せとはなにか?」とか。それでここでは、自分の答えを押しつけるんじゃなくて「僕はこう思う」「あ、そうなんだ。でも私はこう思うよ」「ああそうか、そういう見方もあるんだね」みたいなやりとりを心がけています。そうすることで最初に思ってた幸せが、その場のいろんな対話を重ねていくことで認識の幅が広がっていく。そういう体験ができるんです。

ミト

そんな場があったらボクも学生時代にやりたかったなー(笑)
それって1回の対話にどれくらいの方が集まるんですか。

浜さん

まだ8人ぐらいですね。

ミト

8人! 8人でも白熱したら十分濃厚な時間になりませんか???

浜さん

めちゃくちゃ濃厚になります(笑)

ミト

なりますよね(笑) 世代や年齢もバラバラですか。

浜さん

はい、あと性別も。学生や、社会人、それに主婦の方も。そこが面白いんですよね。こういう「対話を通して価値観を広げる」ということを僕は大事にしていきたいんですし、そういったひとくくりを「学校で教わらない大切なこと」としてボクは授業にしているんです。色んな経験をすることで子供の人格形成や人間力を高めるというのをやっていきたい思いが「おはこや」を立ち上げるきっかけになりました。

ミト

「おはこや」と「オンラインフリースクール」というのはまた別なんですか?

浜さん

はい。「おはこや」というオンライン塾とオンラインフリースクールは全く別軸なんです。ここで、最初におっしゃっていただいたフリースクールってなんなのかという話なんですが…

オンライン塾とは別軸の「オンラインフリースクール」とは??

浜さん

以前、知り合いのお子さんの中で不登校になっている子達が何人かいて、気になっていたんです。それで実際にそういった親御さんにお話を聞いていったんですが、やっぱりすごく悩みを抱えていらっしゃったんですね。それで「何か力になれないかな…」と思ったのが、オンラインフリースクールを始めるきっかけになりますね。

ミト

なるほど。フリースクールって、不登校のお子様や、学校に馴染めないこどもたちのための場ですよね。

浜さん

そうです。それを僕なりのカタチでいつかやりたいと思っていたんです。けどまずは「オンライン塾おはこや」の方を軌道に乗せてからだと。…だけどやっぱり放っとけない気持ちが強くて、動くことにしました。それでまずは当事者のお子様と僕とで1対1でしゃべるっていうところから始めてみました。

ミト

しゃべるということは出来たんですね。

浜さん

はい。最初は差し障りのない、身の回りのことから聞いていきました。
「学校ってどんな印象やったん?」「どんなことでしんどくなったん?」とか。
次第に少しずつ踏み込んだ話になって、聞けそうだなと思ったときは踏み込んで聞いていきました。そうするうちに、学校に行けなくなったきっかけなんかも話してくれるようになったんです。

ミト

少しずつ丁寧につむいでいったんですね。
実際、子どもたちはどんなことで学校に行けなくなってるんですか?

浜さん

たとえば校則ですね。「なんで服はこうじゃないといけないの?」とか「 決められた服を着ることに全然納得いかない!」とか。

あと「中学に入ったらギター部を作りたい」っていう子がいて。それを期待して中学に入ったはいいけど、先生の数とか色々とクリアすべき問題があって叶わなかったんです。もちろんクラブを作るってそんな簡単じゃないからそもそも難しい話だったんですけど、でもその子はそれで不登校に。

ミト

いじめが原因で不登校になるとは限らないんですね。

浜さん

そうなんですよ。でもその子にとってはものすごくガッカリが大きかったんですよね。

ミト

なるほどー。
希望を砕かれてしまったわけですからね。それって傍から見ると「そんなんで不登校?」って思われるかもしれないけど、その子にとっては凄く大事なことですよね。不登校になっちゃう気持ちも、わからなくはないです。

浜さん

そうなんですよ。あと、その子は担任の先生とうまくいかなかったんです。担任と合わないっていうのは大きくて、それって精神的な居場所がなくなるわけです。でも一日中ずっと一緒にいないといけない。すると気持ちの逃げ場がなくなる。その子はそれがたまらなくなって、学校に行けなくなったんです。
彼とは半年くらい前に出会ったんですが、少しずつ話を重ねていく中で、打ち明けてくれました。

ミト

聞いてくれる人がいるって本当、大事ですね。

浜さん

そうやって話を重ねていく中「一緒になにか”場所”を作らないか」っていう話になってきたんです。でもその子は茨城県だったので直接会うってことは出来ない。だからオンライン上で一緒に場所を作っていこうという話になったんです。そしたら「じゃあ時間割はどうしよう」とか「何曜日に集まろう」とか、そうやって話が膨らんでいったんです。

ミト

一緒にやることを作っていくって楽しいですよね。

浜さん

そうそう、そうなんですよ。彼も「自分で何か企画したり作っていく作業がすごく楽しい」と言ってました。そうやってなんとなく形になってきたときに、ふと「この”場所”ってなんて呼べば良いんやろ…」と思ったんです。フリースクールっぽいことやってるし、それをオンラインでやっているから、じゃあオンラインフリースクールか! っていうことで、シンプルにそう呼ぶことにしました(笑)

ミト

なるほど(笑)そうやってオンラインフリースクールが始まったんですね。

聞いていて思ったんですが、こう言う場を望んでいる人ってたくさんいますよね、きっと。

浜さん

いると思いますね。ただ、学校の良さっていうのもわかるんです。僕も学校の教員だったので。文化祭などをクラスで話し合って作っていったりする。その中で多様な価値観が時にぶつかることもあります。そういった経験っていうのは、学校ならではですよね。でもどうしても、その中にはしんどい子もいるんです。それを大人が「とにかく行きなさい」「全員が全員行かないとダメだ」という認識のままだと、最悪それで命を絶ってしまう子だって現れるわけです。

「合わない子もいるんだ」という認識を大人も持って「うちの子はたまたま合わなかったんだな」っていうフラットな捉え方をする。そうやって子どもを追い詰めないようにしないといけない。そういう見方はやっぱり大事に持っていたいなって思いますね。

だから僕がやるオンラインフリースクールは「一旦行かなくなっても良いんだよ」と受け入れてあげるところなんです。

でも一方で、オンラインフリースクールだけでその子が本当に幸せになるかっていうと絶対そうじゃなくて。学校で育んでいけるものっていうのも確かにあるんです。なので、その子の未来を僕がすべて受け持つということではなく「一旦こっちにおいで。大丈夫だから」と、まずは安心できる場所。自分を信じられるようになって、自分を好きになれるっていうステップを最初に持ってから「行けそうなら次に行っておいで」って言える場所にしたいんですよね。

そもそも「通う」ということがむずかしい…

ミト

考えてみれば人によって登っていく階段の「段差」って違いますよね。その差が大きすぎるなら「無理せずに刻んで、小さい段差にして登っていきましょう」って、そう言ってあげるのってすごく大事ですよね。もしかしたら進むべき場所が全く違う可能性だってあるし、逆に、学校に復帰する可能性だってあるわけですし。

浜さん

その通りですよね。残念ながら今の学校のシステムでは、まだまだその段差は激しくて。「まず学校においで。保健室でもいいよ」って言うんですけど、それって結局学校に行かないといけないんですよね。

子どもたちの中には、門をくぐることでさえ震えたり、涙が出たり、足が動かない子がいるのに。じゃあその手前で出来ることってなると、先生による家庭訪問になるんです。それって子供もつらいですし、先生もしんどいんですよ。

じゃあそれよりももっと手前は? ってなると、今度は適応児童教室っていう公立が運営している場所があるんですが、でもそれもやっぱり通わないといけないんです。「適応」なんで、目的は学校に戻すことにあります。

ミト

違った生き方を認めてくれるわけじゃないんですね。

浜さん

そうなんです。で、その次にあるのがフリースクールなんです。でも、フリースクールだって家から出るっていうことなので、もの凄いハードルになる子たちがいるんです。
人の目を気にするんですよね。「あの子学校に行ってないんだ」とか「中学生はみんな学校に行ってる時間なのにあの子なんで歩いてるんだろう?」ってみんなに見られてる気がする。本当はそんな目で見てないと思うんですけど、当事者はネガティブに見られてると思って周りの目が気になるんですよね。

それで結局、家から出ることすらしんどくなる。最終的には引きこもってしまう。そのタイミングが中三のギリギリのときだったりすると、卒業式に出れなくて、ちょっと遅れて通信制に行くっていうパターンが結構多いんです。

だから僕はオンラインによるフリースクールっていうのが必要だと改めて思いました。家にいながら大人との確かな繋がりを感じられる。他の同世代の子たちとも他愛もない趣味の話だって出来る。自分はこの世界にいていいんだって思える、安心できる空間が必要だと思って、運営していますね。

ミト

確かにお話を聴いて、そうなってしまう子は一定数いると思いますし、そういった場所は絶対いるよなーって思いますね。

僕自身は不登校にこそなっていないんですけど、学校の息苦しさというのは常に感じて過ごしていました。やっぱり特殊な環境ですよね、学校って。
いい意味で多様性のぶつかり合いもありますけど、やっぱり日本の学校社会って同調圧力が強いし、一クラスの人数も多いから、先生だって絶対目が行き届かないですよね。

浜さん

そうですね、正直「ガチャ要素」はありますね。担任がしっかりしてるか。学校がしっかりしてるか。まわりとの相性が良かったっていう。先生も人ですから、贔屓もでちゃうし…色々とありますね。

ミト

でもそんな状況をどうにかしようとして始められたのがオンラインフリースクールだったんですね。これは子供たちの未来のためにも重要ですよね。よくわかりました。

子どもたちが未来に希望を持てるようにする。

ミト

では今度は、お仕事する上で大切にしていることをお聞かせください。

浜さん

「長い目で見て、その子の将来のためになる方を選ぶ」っていうことを結構大事にしています。その子の”今”だけに目を向けるのではなく、長期的に見て、その子が多少しんどい思いをしても、それを乗り越える体験って大事だよなっていうのを、忘れちゃいけないと。

ミト

誰にでも乗り越えるチカラはちゃんと持てるから、それを養おうってことですね。

浜さん

そうですね。少なくともそうやって、未来に希望を持てる力を持ってほしいっていうのが僕の願いですね。日本を背負っていくこれからの世代が、未来に希望を持てないっていうのは悲しいことですから。

ミト

それは悲しすぎますね。

浜さん

少なくとも、自分のキャリアや人生プランに関してはキラキラ、ワクワクして欲しいんです。「この子たちに何をしてあげれるだろうか、どんな力を養ってもらう必要があるだろうか」っていうことは、常に考えて子供たちに接してますね。

ミト

今の子たちって大人をどういうイメージで抱いているんでしょうね。

浜さん

どうでしょうね。でも将来どんな大人になりたい?っていうのは聞くんですよ。そしたら「ニート」って普通に言っちゃう子がいたり(笑) 一生遊んで暮らしたいって子がいたりしちゃうんですよね。もちろん、幸せな家庭を築きたいっていうキラキラした想像をしている子もいますけど。

けど雰囲気的には「なんもしたくねえ」「楽に生きてぇ」っていう子が多い印象は受けました。それって結構そういう社会の空気に影響されてると思うので、前向きな雰囲気が社会にあればまた違ってくるのかもしれないんですけどね。一概には言えませんね。

ミト

「将来どんな大人になりたい?」って、折を見て何回も聞いていった方がいいかもしれませんね。今日はどう?なんか最近やりたいこと出来た? みたいな。ネガティブな空気感って、確かにいまの世の中を漂ってるところがあると思いますし。

浜さん

希望を持って色々考えてほしいなって思うんですけどね。そんなに可能性を低く見積もっちゃ、もったいないぞって。

ミト

それを見せるためには、学校が「生き方にはいろんな道はある。その一つとしてフリースクールもある」ってもっと言ってほしいですよね。子どもたちが未来に希望を持てれば、相互作用でそのパワーは必ず伝わるだろうし、絶対その方がいいに決まってますよね。

浜さん

子どもは大人をよく見ていますからね、大人がどれくらい未来にワクワクできているか、希望を持って生きているか、というところはとても大事な気がします。

「子どもが変わった」と言ってくれた。

ミト

仕事をしている中で印象に残っているエピソードを教えてください。

浜さん

フリースクールで言うと、「うちでは本当に笑わないし、ゲームをしてても全然楽しそうじゃない」っていうお話をはじめは聞きました。だけどいろんな交流や、やりとりを通して「すごく笑うようになった」って言ってもらえるようになったんです。次第に学校にもちょっと足が向くようになって、そこから「修学旅行にもいけた」というところにまでなったりして。

オンラインフリースクールを通して「繋がり」というものに希望が持てて、学校は思ってたほど悪い場所じゃないと思えるきっかけになったんだと思います。でもそれだって絶対マストの道じゃないから「苦しくなったらいつでも戻っていいんだよ」とも言ってて。

正直、自分の中で不安もあったんですよね。バリバリ勉強を教えるとか、本当にわかりやすく成績が上がるとか、そういうのじゃないので。「本当にこれがこの子達のためになってるんだろうか」って。でも親御さんから「子どもが変わった」という声を聞かせてもらった時に「やって良かった。間違ってなかった」って思えたので、その時はすごく嬉しかった瞬間でした。

あとは「おはこや」に来てくれている子が「どんな大人になりたい?」って誰かに質問された時「僕はなんか、おこめさん(オンライン上での浜さんの呼び名)みたいになりたいんですよね」って言ってたらしくて、それもめっちゃ嬉しかったです。

担任に憧れて先生になったように、僕も憧れを抱いてもらえる姿を見せられてるんだなと思いました。

ミト

伝えたい思いがちゃんと届いたんですね。

「ちゃんと考えてないくらいであえて決断した」

ミト

では、浜さんにとって働くとはなんですか。

浜さん

いいですね〜。哲学タイムですね(笑)
今の自分のスタイルを進んでいくと、もう「生きること」みたいな感じなんですよ。「生きることと働くことって何が違うっけ?」って今そんな感覚なんです。プライベートと仕事との境目もないですし「あれ今これ仕事かな?」みたいな感覚なんですよね。それは楽しいからですね。自分の想いを伝えているから、労働感がないんです。

ミト

なるほど。本当にやりたいことをやっているからってことですよね。
教師をしている人の中で、もしかしたら浜さんと同じような想いを抱いている人はいるかもしれないけれど、でもなかなか飛び越えられないわけで。

浜さんの場合、やりたいことをするっていうエネルギーは、どこから湧きがあがったと思いますか。

浜さん

僕は自分が飛び出せない系の人だってわかってたんですよね。だから「伝えなきゃ」っていう思いが熱いうちに決断しちゃえと思ったんです。今を逃すと一生僕は先生を辞めないぞって(笑)

だから、ちゃんと考えてないくらいであえて決断しちゃったって言うのが、大きかったですね。お金のこととかもちろん心配はしないといけないけど、でもそんなこと言い出すと何も見えないし、不確定なことばっかりなんで。

で、教師は副業禁止なんで「副業しながら売り上げあがってきたから独立しました」というのが出来ません。それが出来ない以上はもう辞めるか、教師を続けるかしか選択肢がないんです。

でも唯一救いなのは、辞めても戻れるんですよ。また試験を受けて、受かったらまた教師をやれるんですよね。安定に戻ろうと思ったら正直いつでも戻れるんですよ。じゃあ辞めようと(笑)

ミト

あ、拠り所はあったんですね。

浜さん

あったんですよ。じゃあなんで一回その選択を取らないの?って。それで辞めたんです。そうするとやっぱり変わったんですよ。それまで働くってなんですかって言われたら、本気でやることとか、本気にならないといけないとか思っていて。相手は子供たちですし、少なくとも決められた時間、朝8時から夜7時半までやらなければいけないことがたくさん降ってくるし、湧いてくるから、それを月から金まで全部こなす。で、土日も必ずどちらか出勤しておいた方がいい。みたいなことを働く定義にしていたんです。でも辞めたことやっぱりそうじゃないんだってことに気がつけましたね。

今はもう本当に「生きることは働くこと」になってますね。死ぬまで働いて生きていったらいいんじゃないかってくらい思ってます。

ミト

まさに生きる目的として今のお仕事をされているんですね。

浜さん

そうですね。自分が実現したい世界を作っていくためにやってて、それでお金をいただけて、ありがとうも言っていただけて。だからもう、今は人生で達成したい目的に向かうために働いているんで、それは生きることと同義なんですよね。

「将来をキラキラ、ワクワクできる子を育てたい」

ミト

実現したい世界っていうのが、かなり見えてらっしゃるんですね。

浜さん

それが「将来をキラキラ、ワクワクできる子を育てたい」ですね。もちろん今も未来も、それに子供だけじゃなく、大人も含めてキラキラ、ワクワクを増やしたい。そんな世界を作りたいですね。

だから、実際にリアルに体感するというのはすごい大事だって僕は思います。

ミト

人間にはもっと繊細に感じる力がありますからね。ありがとうございます。

では最後に、就職活動とか、自分が進むべき道について悩んでいる学生や子供たちに向けて伝えたいことがあれば教えてください。

浜さん

やりたいことが見つからない理由っていくつかあると思っていて。

ひとつは「自己分析」。内省が足りてないということ。もうひとつはそもそも「憧れのモデルとなる人に出会ってない」ってことがあると思うんですよ。

いろんな大人と出会える、喋る、価値観に触れまくる。そして自分の世界感を広げまくるっていうのがまず最初のステージとして必要で。その中で、あの人自分と全然違うのになんで惹かれたんだろうなぁって考えて、共通項が見えてきます。それが自分のベースとなる価値観とか、ワクワクするポイントになっていくと思うんですよね。それは何にも足を運ばない、ひたすらひとりで内省する、だと出てこないですよ。

ミト

まずは世界への認識と理解を広げないとですよね。

浜さん

はい。自分の小っちゃい経験だけで、いざ社会に飛び込むと、大きく「思ってたんと違う」ってなると思うんです。一回、世界認識をガーンと広げまくるのがいい。それって全然、日本にいても出来るんですよ。すぐに「インド行こう!」とかしなくてよくて。

ミト

ジョブスみたいに(笑)

浜さん

日本の中にも、枚方の中にも、かっこいい人っていっぱいいるから、そういう所に飛び込んでみる。あとは学生の中でも視座を高く活動してる人っているから、そこに飛び込んでみて喋るのもいいし。それが切り開くポイントな気がしますね。

ミト

とにかく世界を広げてみてほしいということですね。

浜さん

はい。あと、共感力も大事ですね。ただ話を聞くだけじゃなくて、その人の言葉を、その人の目で見て、その人の心を感じて味わうことが出来るようになると、より色んな人の話を吸収できるようになると思います。

共感力がないと興味が持てないから、あまり広がっていかないかもしれませんよね。「へえ」で終わっちゃう気がするので。その人が何故、何を大事にしてやってるのか、何を目指してるんだろうか、という視点に本気で向き合ってみるっていうのが必要かもしれませんね。

ミト

その人のストーリーを知れば、ある程度共感って湧きますし、面白いですよね。

浜さん

それを聞きたくなる瞬間の自分ってちゃんといると思うんです。この人、なんか違うって思う感覚、なんか熱いなって思う感覚。そう思った時は、思い切って聞いてみたらいいと思います。そんな人ってだいたい熱いんで、ちゃんと語ってくれると思います。そういった思いは、なかなか聞けるものじゃないんで。

ミト

熱くない人だと、聞いたら「えーなんでやろー」っていう人、いっぱいいますよね(笑)

浜さん

そうそう。本当昨日も、吉本で芸人をしながら事業を立ち上げてガンガンやっている方としゃべったんですけど、やっぱりその人はプレゼンがまず熱かった。そのあとも聞いてると、生い立ちや濃いストーリーが色々あって。ああ、だから今があるんだなっていう、すごい深い共感が芽生えたんです。その人の人生を自分にインストール出来たような体験ですね。いやー良かったなーって感じました。これを学生に味わって欲しいってめっちゃ思いましたねー。

ミト

めちゃくちゃボクも聞きたかったです、それ(笑) 世界認識が広がるって単純にワクワクしますよね。知らないことを知れるって。それをもっとみんなに知ってもらえるといいですよね。

浜さん

ちなみにその方は、吉本の社長になるっていってました(笑)

ミト

吉本を大きく変えるかもしれませんね(笑)
では今後の展望を教えてください。

浜さん

僕がいま描いてるオンラインフリースクールの認知を広げたいです。まだ知らないだけで、知って必要だと思う親御さんたちは絶対いると思うんで。オンラインならどこからでも来れるので、もっと広げたい、知ってもらいたいですね。自分一人で抱えていてもなかなか乗り越えられないので、そこは助け舟を出してくれる人を巻き込んで一緒に考えを広げていきたいっていうのが、まず一つです。

もう一つは、僕が今やってるオンライン塾という形。今ボクがやっているオンラインの塾である「おはこや」で一緒にどうしていくかを考える。勉強をキチンと面倒見ますよと。ただ結果を出すためにやるんじゃなくて、学ぶ力。自ら学んでいく力を身につけることを第一にして、その結果として点数が上がっていく。

そういう、本当に子供の将来のために繋がることを大事にできるオンライン塾にこれからシフトするので、フリースクールで勉強したい、頑張ってみようと思った子達が、勉強でも活躍できる。より自身をもってチャレンジできる。そういう子達を増やしていきたいです。この両軸をこれから展開していきたいですね。どちらもオンラインなんで、広く伝えていきたいです。

ミト

今まで簡単には作れなかった居場所がオンラインによって作れるようになりましたし、ぜひ広げていきたいですね。

そもそも浜さんのような熱い方といっしょに何かをするっていうのは、それだけで子どもたちはエネルギーを感じると思いますし、世界も広がっていくと思います。みんなが自発的に学びたい、こんな大人になりたいっていうビジョンはまさにここにいるので、それだけでもみんなに伝わる環境になると思いました。ぜひ頑張ってください。

ありがとうございました!

浜さん

こちらこそ、ありがとうございました。

浜直也さんのプロフィール

浜 直也

10年間、公立中学校理科教員として勤務したのち独立。目先の点数を上げるだけの塾の在り方に疑問を持ち、受験以降の人生にも活きる自分で学ぶ力が身につくオンライン塾おはこやを開校。
GCS認定コーチ、Google認定教育者。

編集後記

実は浜さんとアサカワは同じ年齢で、同世代が熱い思いを持って未来をカタチ作ろうとされているのを聞いてボクも熱くなりました。話は1時間ほど続き、何よりまず自分たちがドキドキワクワクする時間を過ごしました!!

── 浜さん、素敵なお話をありがとうございました!!

この記事を書いた人
アサカワ ミト
ビィーゴ コミュニティマネージャー(アナタとおしゃべりしたい人)
イベントを企画したり、ビィーゴを通して枚方の面白さを発掘したりしています。
演劇活動もしており、カフェなどの日常のそばで小さな公演をしたり、一般の方にも演劇を体験していただける「演劇であそぶワークショップ」などの活動もしています。